明石康氏(元国連事務次長)講演会聴講メモ
テーマ「グローバル化と日本」
会場 群馬会館・日時 2000年11月11日 15:00〜16:20
文責:(有)アテネ・コーポレーション 大島雅彰
明石康氏プロフィール
1931年秋田県生まれ。元国連事務次長。国連カンボジア暫定統治機構代表等で活躍。
現在日本予防外交センター会長。
序章
以前より明石氏に関心があり、一度肉声を聞いてみたいと思っていたところ、昨年の暮れにチャンスがあり聴講いたしました。
バブル崩壊後、日本の行方に不安があり、かといって今の政治家の能力を問うほど自分のレベルが高いわけでもなく、ただひたすら有能な指導者等を待ち望んでおりました。
その中のリーダーの一人として明石氏の見識に学ぶところがありました。
もしお時間がありましたらお目を通していただければ幸いです。
時間の都合で週1項目ペースで書き足してまいりますが、気楽にお読みいただければと思っております。
目次
1:グローバル化 1月30日UP
2:アメリカナイゼーション 2月07日UP
3:人権 2月14日UP
4:20世紀 2月21日UP
5:ナショナリズム 2月28日UP
6:外交 3月07日UP
7:英語 3月14日UP
8:グローバル化した中で、これからの日本はどうすればよいか?
3月21日UP
グローバル化
アメリカの大統領選挙の行方、3年前のアジアの金融危機、世界を駆け巡る資金(1日の資金量は年間世界貿易額の5〜6倍といわれている)などインターネットを通じたグローバル化が進んでいる.
グローバル化と国際化のニュアンスの違い。グローバル化は人と人、企業と企業。国際化は国と国の関係である。従って国境の垣根は低くなったが、国家間は歴然と残っている.
アメリカナイゼーション
ロシアはベルギーと同等のGDPである。横綱級はアメリカ一国。
各国はその国に合わせた経済、文化のアメリカ化が進む一方、社会体制のヨーロッパは人種差別、貧富の差を否定している。
価値、思想の世界もグローバル化、国際化、アメリカ化が浸透している。
人権
中国、インドは人権に対し「やっと独立したばかり」といい、ヨーロッパ、アメリカは「人の間に違いはなく、普遍的である。従って他の国家でも人道的介入はできる」と考えている。
ASEAN10各国でも、タイ、フィリピンはカンボジア、ミャンマーを見ない振りは出来ないと考えている。国家主義の中国と民主化のアメリカの間に日本は位置し、日本は相手の面子をつぶさない程度に干渉している。
インドネシアに対しヨーロッパは正面切って批判をしているが、日本は援助をしながら干渉をするアプローチを行っている。
このグローバル化は10年間進行している。
20世紀
18、19世紀と比べ20世紀の変化は科学の進歩、とりわけ電気、飛行機、電信電話、コンピューターであった。
地球人口では20世紀初頭は16億人が、20世紀終わりには60億人、これを人口の爆発と呼んでいる。日本でも経済成長は15倍に伸びた。識字率も10〜20%から90%となった。まさに光の世紀であった。
しかし光の反対に影の部分として2度にわたる世界大戦。アメリカ、ソ連のポスト冷戦が終了はしたが、民族紛争が始まった。
90年代の民族紛争はもっとも悲惨である。ルワンダのツチ族フツ族の争いでは、フツ族がツチ族への70から80万人の虐殺があった。死体をマサカリや斧で破損。相手を殺しても満たされない死体破損。これは一種の近親憎悪であり国家間の戦争より悲惨である。
戦争犠牲者は1億9千万人で19世紀の約4倍であり、世界大戦では犠牲者の90%が軍人であったが90年代は市民が90%と逆転している。20世紀では人間は「人間に対する態度が退歩」していると思われる。
マイナス遺産は大量殺戮兵器として核兵器、化学兵器、生物兵器がある。
核兵器は米ソ合わせて2万個あったが、今は6〜7千個と削減されている。昨年東京フォーラムに共同議長として参加し、米ロは1千個まで削減、その他の国は数100から数10個までの削減、インド、パキスタンは実戦配備しないように勧告した。
21世紀は生物兵器が恐ろしいこととなる。これは簡単な研究室で出来るからである。
ナショナリズム
グローバル化の反動として各国でナショナリズムと宗教の原理主義が高まっている。アジア、中東ではイスラム原理主義、インドのヒンズー教、アメリカ南部のキリスト教原理主義。他の宗教に寛容でない教義、民族主義、極右の傾向がある。
反面、自分のアイデンティティに目覚めることは良いことである。「グローバル化した世界に、自分としてのアイデンティティを失わず、相手のアイデンティティを認める寛容で多極的な世界でありたい。」
「日本はアメリカより独立し、普通の国になるべき」と言われているが、世界で普通の国はない。たとえばアメリカは強力な価値観、使命観がある。
ジョークを一つ。
荒れ狂う海で船が沈没するので、船長は飛び降りない乗客に対し、
アメリカ人には「たっぷり保険をかけてある」というと、彼らは飛び降りた.
イギリス人には「飛び降りは立派なスポーツ」というと、飛び降りた.
ドイツ人には「会社から指令が来ている」というと、飛び降りた.
フランス人には「あなたは飛び降りないでいい」というと、へそ曲がりなフランス人は飛び降りた。
日本人には「他の人はみんな飛び降りました」と言いました.
因みに中国人へは「この海には金銀財宝がある」といえば飛び降りる.
外交
中国は市場主義経済。アメリカはgoing my wayとなってきている。Bush次期大統領は「アメリカが世界に関わり過ぎている」として、介入主義に批判的である。
日本は力がないので、国連を中心に各国と関わることが良いだろう。
一方に偏らずこれからは脱亜入欧ではなくアジア、欧米とも仲良くする、複眼外交が大事である。自然体で、言うべき場合は同じ考えをもった国や人たちとチームワークを持つ。
英語
コミュニケーションをとる国際語としての英語が大事。
日本の英語力は低く、北朝鮮やモンゴルと同じレベルである.これは経済大国となったがゆえに、語学を必要としなかった。
明治時代は積極的に留学や、語学を学んだ。北京大学の学生は天安門事件で反米運動盛んなときも、アメリカ留学を希望していた。
通訳や、翻訳機を使えばよいという意見もあるが、微妙で重要な交渉は廊下やトイレの中で交わされる一言が大事。
従って1〜2割の大卒者は実戦英語が出来ること。読み書きより、話たり聞く力が大事。日常会話が話せても、内容のあることが話せなければ尊敬されない。
しかし流暢な会話は必要としない。すぐれた外交官は公正で納得できれば尊敬される。なまっていても問題はない。むしろなまっていたほうが良く、相互理解をする。流暢な米語を話せば、考えもアメリカ的だと思われる。
共通語は英語と中国語となってくる。
グローバル化した中で、これからの日本はどうすればよいか?
バブル後の日本は自信喪失している。自信過剰も問題だが2〜3%の成長は可能である.しかし2桁成長は無理。
進歩していないときは停滞ではなく退歩である。設備の更新により先進国を追い越した時のたくましい成長を忘れている。やさしく、たくましい日本。日本にとじこもらず他流試合に出て行く。
日本の大学生は他国と比べ遜色がある.大学受験が厳しく、入ると勉強しない。大学の4年間ではグローバル化した世界に通用しない。大学院教育で専門教育を身に付ける必要がある.チャレンジや勝負する機会が増える。従って社会、生涯教育が必要となる。
そして図太さ、辛抱強さが必要な時代となる。
1. 少子高齢化。60歳以上の80%は元気な人。そして柔軟な頭でよく勉強をしている。悲観することはない。年を考えすぎる。
2. 女性の活力の活用。子供の面倒を見るシステムを確立する。
3. 外国人労働者。慎重にして適切な導入。有効活用し開放された未来志向で対応する。
21世紀も日本は五指に入る注目された国となる力はある。
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